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初等コーヒベクトル

コーヒをいれよう。ここでの「初等」の意味はインスタントコーヒ と水と砂糖とミルクの量のみを問題にする (種類もあらかじめ決定されている) というところにある。それぞれの量を $ C,W,S,M$ と書くことにすると、 ローズさんが作った一杯のコーヒは次の量で決まることになる。

$\displaystyle \begin{pmatrix}
C \\
W \\
S \\
M \\
\end{pmatrix}$

もちろんそれぞれの量が違えばコーヒの味は異なる。 別の人(カブレラさん)は

$\displaystyle \begin{pmatrix}
C' \\
W' \\
S' \\
M' \\
\end{pmatrix}$

というレシピでコーヒを作ったとすると、 とりあえず二人で使った材料の総量は

$\displaystyle \begin{pmatrix}
C+C' \\
W+W' \\
S+S' \\
M+M' \\
\end{pmatrix}$

という具合になる。あるいは、二人で飲む分をどっかのボールにあけて 混ぜ合わせた時の、コーヒのレシピをあらわしていると思ってもよい。

もちろん、ローズさんが2杯同じ分量を飲んだなら、消費した材料の 分量は、

$\displaystyle \begin{pmatrix}
2C \\
2W \\
2S \\
2M \\
\end{pmatrix}$

という具合になるわけだ。

$ C,W,S,M$ に負の数が入ったところを、想像できるだろうか。 確かに「負の数」の量だけコーヒを使う、とかいうことには意味はない。 しかし、例えばローズさんとカブレラさんのコーヒの材料それぞれの使用量の差

$\displaystyle \begin{pmatrix}
C-C' \\
W-W' \\
S-S' \\
M-M' \\
\end{pmatrix}$

などというのは議論する機会があるかも知れない。 「ローズはコーヒはたくさんいれるけどカブレラはミルクをたっぷりだ」などなど。

$ C,W,S,M$ 四つの実数の組を上のように縦に並べたベクトルを、 「初等コーヒベクトル」と呼ぼう。初等コーヒベクトル同士は、足したり、引いたり できるし、初等コーヒベクトルを実数倍することもできる。

詳細は想像力を働かせて自分で考えてみよう。

ローズとカブレラと言う名前なら、もっとふさわしい話題があったが、 それについてはそのテの話題が好きな方の宿題とする。

コーヒ好きの人なら、キリマンジャロとブルーマウンテンと何とかと何とかとを ブレンドして、という詳細なレシピを必要とするかも知れない。 そのような人は自分で「高等コーヒベクトル」を考えてみよう 3



平成15年1月30日