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二分割


\begin{align*}&s_1=x+x^2+x^4+x^8+x^9+x^{13}+x^{15}+x^{16} \tag{8,1}\\
&s_2=x^3+x^5+x^6+x^7+x^{10}+x^{11}+x^{12}+x^{14}\tag{8,3}
\end{align*}
この二つは変換 $x\mapsto x^2$ によって不変です. (``(8,1)'',``(8,3)'')などの記号はガウスが [2] で用いていたものです. ``(8,1)'' は 「$x^1$ から始めて8つで戻ってくるものを足したもの」 という意味です。以下同様。)

$s_1,s_2$ は次の方程式を満たします.


\begin{displaymath}s_1+s_2=-1,\quad s_1s_2=-4
\tag{S}
\end{displaymath}

前の式についてはすぐに確かめられます. 後ろの式は単純に展開すると,
\begin{align*}s_1s_2=
&x^4 + x^5 + x^6 + 3 x^7 + 2 x^8 + 2 x^9 + x^{10} + 3 x^{1...
... + x^{24} + 2 x^{25} + 2 x^{26} + 3 x^{27}+x^{28} + x^{29} + x^{30}
\end{align*}
となり, これに $x^{17}=1$ を代入して整理すると,

\begin{displaymath}s_1s_2=4 x + 4 x^2 + 4 x^3 + 4 x^4 + 4 x^5 + 4 x^6 + 4 x^7 + ...
... x^{11} + 4 x^{12} + 4 x^{13} + 4 x^{14} + 4 x^{15} + 4 x^{16}
\end{displaymath}

という式が得られます. さらに $f(x)=0$ ということから $s_1s_2=-4$ が分かるわけです.

ともあれ, (S)式から $s_1,s_2$ は次のように解けることになります.

\begin{displaymath}s_1=\frac{-1\pm\sqrt{17}}{2},\quad
s_2=\frac{-1\mp\sqrt{17}}{2} \quad(\text{複号同順})
\end{displaymath}

この複号のどちらを選べばよいかは, $x$$\zeta^k$ のどれかによって 変わってきます. $x=\zeta$ ならば, 数値計算により, $s_1=1.561552812...$ がわかるので, $s_1$ の複号はプラスの方がとられることになります.

\begin{displaymath}\zeta^2,\zeta^4,\zeta^8,\zeta^{16}=\zeta^{-1},\zeta^{32}=\zeta^{-2},
\zeta^{-4},\zeta^{-8}
\end{displaymath}

でもすべてプラス符号です.

$s_1,s_2$ がこうやって求まってみると, (8,1),(8,3)という式は $x$ の 16次と14次の方程式を与えることになります. (あとの議論には必要のないことですが読者の興味のために述べておくと, この二つからユークリッドの互除法を用いて $x$ の満たすできるだけ簡単な式を作ることにより, 先に判別式の節で述べたのとまったく同じ式が得られるということが分かります. )




2002-08-15