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判別式

判別式の知識をつかうと, もう少し次数が下げられます. ただし, 本当に計算するのはかなり大変ですから, ここのところは, そんなものか, と読み流して頂ければ結構です.

$ f(X)=0$ の根 $\{\alpha_i\}_{i=1}^{16}$ の中から二つ $\alpha_i,\alpha_j$ をとってきてその差 $\alpha_i-\alpha_j$ をつくり, それをすべての組合せについて掛け合わせたもの

\begin{displaymath}\Delta=\prod_{i<j}(\alpha_i-\alpha_j)
\end{displaymath}

を2乗したもの $\Delta^2$を, $f$ の判別式と呼びます. $\Delta^2$ は根の対称式なので, $\{\alpha\}$ の基本対称式(=$f$ の係数) で書き表すことができます. (5.1 に求め方を書きました. 御参照ください.)

\begin{displaymath}\Delta^2=17^{17}
\end{displaymath}

今の場合 $f(X)$ の根の一つを $x$ とおくと, あとの根はそのベキ乗で あらわされますから,

\begin{displaymath}\prod_{1\leq i<j \leq 16}(x^i-x^j)=\pm 17^8\sqrt{17}
\end{displaymath}

となることがわかります. この新しい方程式と, $f(x)=0$ を組み合わせて, $x$ の満たす 方程式の次数を下げていくこと(ユークリッドの互除法) により, 次のような方程式を得ることができます.
\begin{align*}&x^8
+ x^7 \left(- \frac{\sqrt{17}}{2} + 1/2\right)
+ x^6 \left(...
...2} + 5/2\right)
+ x \left(- \frac{\sqrt{17}} {2} + 1/2\right)
+ 1
\end{align*}

これも, 上から読んでも下から読んでも同じ式(自己相反多項式)ですから, 前小節のやり方と同様にして, この多項式の根を求めることは 2次方程式と4次方程式を解くことに 帰着できます. 当時4次方程式の解き方は知られていましたから, これで どうにかこうにか $ f(X)=0$ が解けそうです。

ただし, これでは初等的には違いないけれども, 計算は大変です. ガウスはもっとずっと簡単な説明をもっていました.




2002-08-15